だいぶ昔に別のところに記していたブログを読み直すことがある。2009年3月11日のエントリーをここで再稼働させてみる。文章に出てくるダンカン・ヒッギンス先生(Duncan Higgins)がたまにベルゲンに教えに来ると明らかに生徒の雰囲気が変わり、みんなインスパイア状態になっていた。僕の作風に良い影響を与えるだろうと、サイモン・シャーマやW.G.ゼーバルトといった作家の本を勧めたりしてくれたのを覚えている。
以下の文章内で予告していたエキシビジョン(グループ展)などを記録した集団ブログのページもある。それは成功に終わったし、成長もできた。
www.ledelsen.blogspot.com
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March 11, 2009
終着駅からの発車時刻
版画学部と写真学部が新しい校舎へ移転中の関係でクラスの一つがベルゲン駅のすぐ横にあるホテル・テルミヌス(終着駅)のカンファレンスルームなどで行われている。今日はそのクラスを受け持つイギリス人の芸術家・講師、 ダンカン・ヒッギンスとの個別テュートリアルが一階レストランの小ホールを貸しきって行われた。シャンデリアが架かる綺麗な部屋の中でコンセプテュアル・ アートの制作、方向性などといったアドバイスを受ける不思議(贅沢)な機会だった。ヒッギンス氏は昨日のうちにこのクラスを取る生徒全員が持ち寄った作品を目にしていたことからテュートリアルの方向性も自然な流れになった。彼は昨日のプレゼンテーションから何を見抜いていたのだろうか。今日の話の中で、何かを書いているかと質問された事が印象に残っている。それだけでなく、すぐに書き始めたほうが良いというはっきりとしたアドバイスをもらった。そしてその文章はど のようであれこの先に撮るであろう写真に付随するものになると言っていた。(というわけで書いている。)
一ヵ月後、このクラスの締めくく りとして、参加した生徒でエキシビションを行う。それについての方向性も話し合うことができた。この週末、鉄道を利用して2時間ほどのところにある田舎町で友人達と時間を共にする予定があることから、その小旅行をテーマにしようかと伝えたところ、良いフィードバックを受けることができた。
4月から5月にかけての自由制作期間のテーマについてもアドバイスをもらうことができた。ベルリン、プレンツラウアーベルクで進行中のジェントリフィケーションについて研究している友達からインスピレーションを受け、映像化していきたいと伝えると、待たずにそれについて何かを始めたほうが良いとのことだった。
物理的、時間的な先にあるこの週末の僕にとっては象徴的な集まりの中、友達、自然や街などという被写体を撮ったり、文章として残すという行為から生まれるものは非線形の時間軸にある自己が司っているという、というところまで話し合うことができた。意味を超えて、あるいは意味など気にせずに、とにかく今は制作として書き始めること、旅が始まっていようがいまいが、撮り始めることが重要だということをアドバイスされた。
心だけは、今日から永遠的に芸術家として止まることなくフルタイム稼動していくことになった。